それはもうスローで

自分の運転のいい加減さは、母親譲りなのだけども、幼い頃母と兄とドライブに出かけたときに、母親が交差点を急に右折した。「どっかにつかまれー!」と叫ぶ母。おとなしく従う両兄弟。助手席のレバーに手をかけた兄。チャイルドロックのない車。遠心力で開きかけるドア。引きつるオオタニ。どこかに捕まれー!に従ったままの兄。地獄絵図の根源である母。
兄はそんな思い出はないらしく、記憶から抹殺されたようであった。